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「近代洋画の開拓者 高橋由一」展 in東京藝術大学大学美術館

東京藝術大学大学美術館で開催されていた「近代洋画の開拓者 高橋由一」展(会期:2012年4月28日〜6月24日)に行ってきました。

東京藝術大学大学美術館に収蔵されている「鮭」が見たいと前々から気になっていたところにこの展示があるということを知り、「行かなくては!」と思い足を運んだ次第です。

東京藝術大学大学美術館の展示は、地上3階と地下2階という構成で階段で行くか2台のエレベーターを利用するかと観賞するための動線的という面から見ると移動し辛いと思った観覧者はいたのかなと思いました。
途中階には、カフェテリアやミュージアムショップがありました。

展示構成
【地上3階】
由一、その画業と事業
油画以前
人物画、歴史画
名所風景画
静物
【地下2階】
東北風景画

今回の展示で見たいと思っていた「鮭」三点の他に、花魁(重要文化財)などといった著名な作品を見ることが出来た点についてはもちろんのこと当初は西洋画を描いていたのではなく日本画を描いていたことや風景画などでは心を引き寄せられる浮世絵的な作品に出会えたことが印象深いです。

その中でも印象深い作品は、画ではなく「螺旋展画閣」という美術館建設構想です。
この美術館は、入口から螺旋状にぐるぐると回りながら上に昇っていく構造で、昇りながら壁に掛けられた油絵を鑑賞していくという仕組みである。
大学美術館を階段で移動した人は気づいたかもしれないが螺旋階段の壁に一部画が展示してあり、この手法を取り入れていました。
総高さ19間(34.545455m)を超える六層ピラミッド型の建物。
そして、最上部は展望台を配置し、景色を眺めることができ、下る際は、別の螺旋回廊を降りていくというつくりは当時の構想としてとてもユニークであったと思う。
結果的に、美術館建設構想は実現しなかったが、由一は、世の中にどのようにしたら洋画が広まるのか、という当時の画家が考えていなかった普及活動にも注力していた点が近代洋画の開拓者と言われる所以なのかなと感じさせる作品でした。

【参考URL】
高橋由一展公式サイト
「螺旋展画閣」の内部空間に関する一考察(PDF)